憶い出の町


子供の頃、この辺りは
ガスタンク、貨物操車場、草野球場、
高専ぐらいしか目立ったものはなかった。
外灯はそんなに多くなかったし、
夕暮れを向かえると、すぐに闇が迫ってきた。


貨物列車の走る音、
町工場の機械の音、
大きなトラックが通り過ぎる音が聞こえ、
夏の暑い日、鞣革工場の出す独特な匂いがした。


正直に話すと、当時はあまり良い印象がある町ではなかった。
それは歴史の中でもそうなっている。
子供の頃、
「あそこにだけは行ってはいけません。」
と母に言われたのを覚えている。


時は流れ...



少なくとも30年以上の時が流れ、
今では、たくさんの高層マンションが建ち並び、
スーパーやショッピングモールが出店し、
都立公園が出来て、リバーサイドが整備され、
多くの若いファミリー層が住むようになった。





子供たちは元気に走り回り、笑顔がこぼれ、
ベンチでは、夫婦が、恋人たちが夕暮れを楽しみながら会話し、
ペットたちの絶好の散歩コースになり、
季節の風が気持ちよく流れていく、町へと変わった。




町の変化と共に、人が変化した。
町の変化と人の変化はいつも一対だ。
その中で、私は...
私はどうだろう...


良い意味でも、悪い意味でも変化しただろう。
少なくともあの頃と比べたなら...


Today's Tune

ダディーズ・スマイル(紙ジャケット仕様)

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Her Town Too http://www.youtube.com/watch?v=UuH-Jhepk6o