#228


東京 日本橋


春分の日も過ぎて、さぁ春本番と思いきや、東京では2日間降り続いた雨で季節が逆戻り。
花冷えが続き、開き始めた桜の蕾も少しばかり寒そうに思える。
それでも、ポツリポツリと咲き始めた街中の桜は、道行く人たちの心を踊らせ始めている。
仕事中、近くの公園では、気の早い人たちが、咲き始めの桜の木の下で、お弁当を広げ、
「まだ、ちょっと寒いねぇ〜」なんて言いつつも、顔がほころんでいた。
来週には満開の時期を向かえて、あちらこちらでお花見と称した飲み会が始まるだろう。
私は、昔からこの”お花見”と称した飲み会が苦手でそこ一帯がお酒臭くなるのが嫌で仕方がなかった。
子供の頃からのお花見は、本当に”お花見”で、近所の言問団子や長命寺の桜餅を食べながら、
父と母はお茶を飲み、私はジュースか何かを飲むといった感じのものだったので、お酒を飲む
というお花見がどうも馴染めない。
だから今でも、ポカポカ陽気の青空が広がる昼下がりに、お気に入りの音楽を聴きながら、
本を読んだりするお花見の方が私は好きだし、青い空に広がるピンクの桜の花びらと、スズメや
メジロたちが桜の蜜を吸った後に、クルクルと回りながら落ちてくる花びらを見て、春を
感じている方が私にはあっている。


幸田文 季節の手帖

幸田文 季節の手帖


今年のお花見はもう一度、幸田文を読み返して見ようと思う。
美しい日本語の響きと、日本の春という素晴らしい色を感じながら。


もちろんお供は、言問団子と今ではお茶だ。