#230


 東京の桜もやっと満開を向かえました。
仕事中はポカポカと暖かい時間が続いていましたが、仕事が終わる頃には、雲が広がりはじめ、
風も冷たくなり、時折、お日様が雲の間から顔を覗かせる天気に逆戻り。それでも、多くの街の
人たちは、桜の樹の下で、思い思いスタイルでお花見を楽しんでいるようです。
 桜の樹の下には、たくさんの笑顔の花が咲いていました。
 待っていたのは、桜の花が満開になることもそうなのだけど、桜の樹の下でたくさんの笑顔が
満開になる事も待っていたのかもしれません。笑顔は何言にも変えられない力を持っていて、人
の笑っている顔を見るだけで気持ちがホッとして、幸せを感じることもあります。その中でも、
子供たちの笑った顔は特別で、本当に純粋なものを感じたりもします。
 桜の花に限らず。誰もが花が綺麗で、その咲いている姿に心が癒されるのは、”花は無心に咲い
ているから”と聞いたことがあります。それと同じように大人や子供に限ったことではなく、笑っ
ている顔は無心なのでしょう。



 若い頃は、咲いている花に愛くるしさや心を癒されたものですが、最近は、咲いている花より
も蕾から徐々に花開こうとしている時や、花が咲き終わった後にチョロチョロっと出てきた若葉
が毎日少しずつ育っていき、初夏の季節、太陽に照らされて、風に吹かれて、銀色に輝く様に愛
しさを感じるのです。
 そして、やがて葉を落とし、固い蕾を付け、寒い冬を越えて、またこの季節に花を咲かせて、
桜の樹の下で笑顔の輪が広がるのです。