#297 埋もれた記憶

 

毎年、このイルミネーションを見ると「もうそんな時期かぁ」と思う。
ほんのりと淡くて、そしてきらびやかで、私たちはそんな光の下にいるのが好きだし、少しだけほっとする。
暗がりの中でうっすらと浮かび上がる光にほっとした気持ちになるのは、母親の体内にいた時に見た灯りか、
または遠い遠い太古の記憶なのだろうか。
以前そのような話を友人のブログのコメントで話をしたことがある。
もし、人の歴史があるひとつのDNAから始まっているのだとしたら、巡り巡って、長い歴史のタイムトンネル
を抜けて、止むことのない風のように今の私たちのDNAの中にその記憶が収められていたとしても不思議では
ないと思う。


時代が変わっても、世代が変わっても、世の中がかつて手塚治が描いていた世界のようになったとしても、DNA
の中に収められた淡く、やさしい灯りに対する人の思いは変わらないだろう。
知らず知らずに受け継がれている記憶と思い。
二重螺旋の中に埋もれている記憶を読み取ることが出来るようになったらおもしろいだろうな。


もしかしたら王様だったかもしれない。
もしかしたらかつては女性だったかもしれない。
もしかしたら暗殺者だったかもしれない。
もしかしたら今と変わらない平凡な一般市民だったかもしれない。
でも結局、単にDNAにコントロールされているだけなのかもしれない。
そんな風に考えるだけでワクワクが止まらない。
こうして生きてきたのも、これから生きていくのも。
まぁ、それはそれで面白いだろうから、見届けてやろうと思う。


Starship Trooper / YES