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#349 化学反応

自炊生活も人生の半分近くになると、それもまた如何なのもかと思うけれど、こうしてキッチンに立っていると、
嫌な事をすべて忘れられると言う事を憶えてしまった以上は仕方が無い。
自炊をする事は決して嫌いではないから、むしろこうしている方が好きなのかもしれない。
料理をしているというよりは、『素材と調味料と火加減で化学反応を楽しんでいる』という感覚。
「そんなの実験みたいで嫌だ。」と昔に言われた事もあるけれど、調味料と火加減が素材に対して、どういう風に
反応するかを分かっていると、作るものはより美味しく、楽しく、素晴らしく食べる事ができると思う。   
お鍋の中で、フライパンの中で、オーブンの中で、様々な調理器具の中で、化学反応を起こし、余熱で仕上げると
食べ物は更に美味しくなっていく。
決して、良い素材を使っているわけではなく、見栄えが良いわけでも、盛りつけがうまいわけでもない。   
ただ毎日、一生懸命働いてくれている身体に感謝をしながら、ご褒美をあげるように作っている。


鶏のささみはハーブとガーリックパウダーで味付けして、焼くと揚げるに中間。程よい焦げ目をつけるためにパン粉に粉チーズをまぜる。


過度な味付けはしない。アスパラガスは下ゆでせずに、生のままフライパンに入れて、弱火で火を通す。仕上げは余熱で。ホクホクとして、甘みが増す。

また、私たち人間もお互いの事を知る事で、目には見えない化学反応をしているのだと思う。
食事はその目に見えない反応を促進させ、盛り上げるための一つとしてあるのだと思う。
美味しい料理を食べて、そのお供にお酒を飲んで、会話をしてする事で、お互いを知る事ができるのだと思う。
だから、『ただ食べるだけ』とか。『お腹が一杯になればいいや』という人とは食事を共にしたくはない。