#273 生きる

夕暮れが迫る太陽の光に、トンボの羽がキラキラと輝いていた。
濁り、澱んだ川の中で、熱いアスファルトの上で、濁った都会の空気の中で
何も言わず、何も言えずにひたすらに生きる。
それに引き替え、
私たちは、いつだって、好き勝手に不平不満を言い続けてばかりだ。
彼らの複眼(め)にこの街は、私たちはどんな風に写っているんだろう。