#241 神楽坂、再会

神楽坂という街は、晴れていても、雨が降っていても絵になる街だと思う。
大通りのひとつ内側の通りに入れば、表通りの騒々しさは消えて、雨音だけが聞こえる。
細い路地裏に外灯がひとつ、ふたつ、雨にうたれて外灯の灯りがキラキラと輝いて見えた。


日曜日の夜に、2年ぶりにひとりの友と再会した。
再会としたのは、2年程前にお互いの大人げない立ち振る舞いで、疎遠になっていたからだ。
普段の生活の中では、2年間という期間はアッという間だけれども、私たちにとって、この2年間は、
とても長く、お互いに頑固で、意地っ張りで、負けず嫌いなので、再び会うために2年という長い時間
を費やしてしまった。
再会の切っ掛けは、それらをすべて捨てて、素直になって送った一通の短いメール。



私にとってはなくてはならない友。
この友に出会わなければ、私は、今の日常の幸せを感じ取る事ができなかったと思う。
それだけ私にとっては重要で、大切な人。
そして、この神楽坂という場所と、おいしいお酒と肴が、730日の長いブランクを一瞬で埋めてくれた。
それでも、私たちの間で、頑固で、意地っ張りで、負けず嫌いで、なかなか素直になれない性格は、
まだまだ治らないとは思う。
それは、お互いにとって安心できる間柄だから、わがままを言い合っているのだろう。
でも、友はきっとこう言うだろう。
「私はわがままは言ってない」と。


分かれた後、ふと思い出す。
「雨降りで大変だけど...」と書かれたメール。
大丈夫、きっとこの雨は、”雨降って地固まる”になってくれているに違いない。

















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最後にエントリーしてから、2週間という随分と長い時間が経ってしまいました。
この2週間の間に、新しい出会い、再会、そして束の間の別れがありました。
悲しみも深すぎると涙も出ず、亡き友のために大好きだった雲の写真をずっと
撮りつづけていましたが、見られたものでもなく、見せられたものでもなく。
ただ、不思議なもので、別れの後に新しい出会いがあり、そして再会があり、
神様のこの計らいに感謝をする日々です。